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小鳥と小動物について

ウサギの病気の予防について

はじめに

ウサギと獣医・看護婦のスリーショット画像

ウサギの場合、犬や猫の様に定期的な伝染病の予防接種というものがありません。
そのため、生活環境の整備が最も重要な予防措置となります。実際にウサギの調子が悪くなって来院した際の病気のほとんどが、食餌内容の不備によるものがほとんどです。まず食生活を見直してみて下さい。

適切ではない食餌を与え続けたことで起こる主な病気

  1. 毛球症
    ウサギの食欲不振の原因として、以前は第一に考えられていたものが、消化管内に毛が溜まって消化不良や胃腸機能低下が引き起こされる毛球症です。
    グルーミング等によって舐めて飲み込んだ被毛が、主に胃や盲腸内に停滞して絡み合い、排泄出来なくなった状態をさします。
    毛玉は消化出来ないため、通過障害や鼓張症により食餌を食べなくなります。正常便が排泄されずに、わずかな下痢をだす場合も多いようです。
  2. 膀胱結石
    ウサギの尿が濁っているのは当たり前と思っている飼い主様も多いのではないでしょうか?
    確かにウサギは、食餌に含まれた余分なカルシウムを全て尿中に排泄するため、野菜等を与えていると、白く濁った砂状の尿を出す事も多いです。
    しかしそれが毎日となると、やはり問題です。やがてカルシウム性の膀胱内結石が形成されて、膀胱炎や尿道閉塞などが引き起こされてしまいます。
  3. 歯牙疾患
    最近、比較的多くの病気の元になっているのがこの歯牙疾患です。
    分かりやすく書くと歯の伸び過ぎという事です。
    歯の伸び過ぎというと、皆さんは門歯(前歯)をイメージされると思いますが、本当に悪さをするのは臼歯(奥歯)の伸び過ぎ(過長)や噛み合わせ(咬合不全)です。
    この臼歯の歯牙疾患によって、食欲不振や口腔内潰瘍、歯根膿瘍といった直接的なもの以外に、続発症として結膜炎、涙管閉塞と感染、スナッフル、眼窩膿瘍、眼球突出、下顎膿瘍、毛球症や胃腸機能低下症、斜頚といったウサギにとって致命的になるような疾患を引き起こします。
    最近では、2歳齢以上のウサギの食欲不振の原因としては第一位になってきている様に感じます。
  4. 肥満
    犬猫同様に、ペットとして飼われているウサギのほとんどは、やや肥満傾向がみられます。
    肥満は万病の元と言いますが、ウサギでは特徴的に問題を引き起こす可能性があります。
    肥満によって、消化管の正常な蠕動運動が妨げられ、鼓張症や胃腸機能低下症といった後腸発酵動物にとって致命的になりかねない病態が引き起こされやすくなります。また過体重によって踵の部分が擦れて感染し、膿瘍を形成したり、腸内細菌叢を正常に保つための盲腸便の直接摂取等が出来なくなってしまい、それらがさらに重篤な症状を引き起こすという悪循環に陥ってしまう訳です。
  5. 鼓張症
    おやつも含めて炭水化物(クッキーやパン、お米など)を頻繁に与えていると、盲腸内で発酵が盛んになりすぎて細菌叢のバランスが崩れて、悪玉菌と言われるような悪い細菌が増えすぎたり、急なガス発酵により胃腸が正常に働く事が出来なくなってしまう事があります。
    中でもクロストリジウムのような細菌が増殖して菌体外毒素を産生すると、短時間で死に至るケースも珍しくありません。

ラビットフードを選ぶ際の大切なキーポイント

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  1. 繊維質(食物繊維)
  2. 粗灰分、ミネラル(特にカルシウム)
  3. 炭水化物や糖分

それぞれについて、以下に解説します。

  1. 繊維質(食物繊維)
    ウサギの病気の予防として、食餌管理が最も重要な理由はこの食物繊維にあります。
    先に述べた病気のうち、膀胱結石を除くすべてがこの食物繊維がポイントになっています。ご存知の通り、『ウサギは純粋な草食動物』なのです。
    つまり、通常なら草の葉や根、枯れ草などを主食として生きています。食べた草や根をお腹(主に盲腸)で微生物の力を借りて発酵させる事で消化吸収(後腸発酵)し、エネルギーとして利用しています。
    また、ウサギに野菜等を与えて、正面からまじまじと食べ方を見ていると、何とも可愛いですよね、、、ではなくて、長い食べ物を切歯で齧って口に入れたあと、顎を左右に動かしながらモグモグしていますよね。この時に臼歯を使って食餌をすり潰す様に咀嚼している訳です。食物繊維が多いと、一般的に飲み込みにくい餌になるために長時間擦り擦りモグモグする時間が長いために上下の臼歯が擦り合わされ、お互いに削り合ってくれて伸び過ぎによる歯牙疾患を予防してくれるのです。
    さらに消化管に入った後も適度に胃腸を刺激して消化運動を促進したり、正常な便の形成を助けてくれます。当然カロリーが低いために肥満の予防や、異常なガス発酵を抑えて正常な腸内細菌叢を保つといったメリットもあります。  
    ウサギの歯と胃腸と健康を考えるならばできるだけ線維含量の多いものを選びましょう。
  2. 粗灰分、ミネラル(特にカルシウム)
    ウサギは、食餌中のカルシウムのほとんどを吸収して、腎臓から尿中に排泄する構造になっているため、時々見られる程度の尿のカルシウム結晶排泄は正常範囲とも言えます。
    しかし、この状態が続くと、結晶はやがて結石となり、膀胱炎や膀胱結石を引き起こす可能性があります。
    成長中の若いウサギではカルシウムの補給は必要な場合もありますが、大人になったウサギではカルシウム性のおやつはもちろん、食餌中のカルシウム含有量も制限した方が良いでしょう。
    一般的に豆科の植物(アルファルファミール、クローバーなど)や緑色の濃い緑黄色野菜(青菜やほうれん草、小松菜など)はカルシウム含有量が高く、成ウサギでは避けたい食餌と言えます。
    当然ラビットフードに関しても主原料にそれらの含まれている割合の低いものを選択すると良いと思います。
  3. 炭水化物や糖分
    炭水化物による急性鼓張症や腸内細菌叢のアンバランスについては前述しました。
    ペットの場合問題となるのは、炭水化物にも含まれますが、添加された甘味やヒトのお菓子を与えた場合です。
    これらは肥満と嗜好性の変化(要は好き嫌いが強くなる)をもたらします。また腸における正常な発酵消化にも影響する可能性があります。
    こういったものは極力与えない様にして下さい。

具体的な食餌内容

少し難しくなりましたが、具体的に書いてみると次のような食餌が理想的と言えます。

  1. 繊維質(食物繊維)
    うさぎ画像
    基本食は、やはり栄養バランスの取れたラビットフードです。
    パッケージをしっかり見て下さい。まず表書きにSOFT TYPEとなっているものは、健康なウサギには適していません。それから、リスやハムスター等と一緒にされているものも問題外(食生活が全く異なります)です。
    また成長期から壮年期まで対応なんてのも、栄養学的におかしな話ですから、丁寧に商品棚に戻しましょう。
    次にパッケージの側面または裏面にある原材料表示をチェックして下さい。
    通常は使用割合の多い順番に記載されているので、できるだけチモシーのようなイネ科の植物が前に記載されているものが良いでしょう。子ウサギ用フードではアルファルファミールが前に来ていると思いますが、成ウサギ以降では、アルファルファミールが入っていないまたは後半に記載されているものを選んで下さい。さらに成分割合表も確認して下さい。表の記載が無いものは、問題外。中でも繊維質の割合が16%以上、最低でも14%以上のものが必要です。
    逆に粗配分やカルシウム含有量は低いものが理想的です。
  2. 干し草(牧草)
    成ウサギにとって非常にメリットの多い食餌内容が、干し草です。
    これもチモシー牧草を選びましょう。床材としても使えますし、繊維質が十分すぎる程摂取できますので、臼歯の過長対策や胃腸をしっかり動かすにはとても理想的と言えます。
  3. 生野菜
    新鮮な生の野菜も適度に与えると良いでしょう。
    例えば、ブロッコリー、キャベツ、レタス、ニンジン、ニンジンの葉、小松菜、チンゲン菜などはOKです。ただ前述の様にカルシウム含有量の高い野菜の与え過ぎは注意して下さい。
  4. 野草
    イネ科の野草、オオバコ、ハコベ、クローバーなどをたまに与えたりするのもいいかも知れません。
    ただし、一般的に観葉植物は食べさせない様にして下さい
  5. その他
    フルーツ(生、ドライ)も時には良いと思いますが、比較的少量にしてください。
    ヨーグルトを含めた乳酸菌製剤は、腸内細菌叢のバランスをとるには良いと言われています。毛球症予防のための犬猫のラキサトーンのような製剤も定期的に舐めさせておくことも有効と思われます。

実際の与え方

うさぎにエサを与える少年のイラスト

ペットとして飼われている場合、どうしても運動量の確保が難しいので、ラビットフードに記載されている1日給与量の7割程度を与える様にして、それ以外には干し草を常に食べれる状態にしておくと良いようです。
また生野菜などは夕方や夜に手から与える様にするとコミニケーションとしても良いと思います。味のついたおやつなどは極力与えない様にして下さい。ウサギは可愛い見た目とは裏腹に、以外と頑固者です。一度偏食傾向がつくと食餌の修正が難しくなりますので、きちんとした食生活のために飼い主さんが頑張って下さい。

飼育環境

一般的には専用ケージを利用すると便利です。
高温多湿の環境に弱いため、こまめな掃除が必要です。床は固い床面や金網スノコだと飛節潰瘍等になりやすいので、木のスノコと干し草や切り藁を敷き詰めると傷の予防になります。
またトイレを覚えやすいので、衛生面からもトイレを用意してあげて下さい。あとは定期的に遊んであげたりしてストレスを解除してあげないと、ケージの金網を齧りすぎて門歯の咬合不全から様々な問題を引き起こされる可能性もあります。

健康診断

ウサギの様な草食動物では、毎日トイレ掃除の際に排便の状態と数をチェックすることは病気の早期発見、予防としてはとても重要です。また定期的な健康診断(半年に1回程度)もできるだけ行ってください。
3歳以降であれば、血液検査による全身チェックも、病気の予防としては理想的です。予防接種等が無くても、飼い主さん自身が病気の予防への意識を高めて積極的に勉強することが大切です。