犬と猫の血便|血の色と状態から考えられる原因と受診の目安
2026年08月25日便に血が混じる , よくある症状・病気
愛犬・愛猫の便に血が混じっていて心配な飼い主様へ。鮮血と黒色便の違いから考えられる原因と、緊急性の見分け方を獣医師監修で解説します。
【この記事の要点】犬猫の血便は血の色によって出血の場所が異なり、黒くタール状の便は緊急性の高いサインです。
症状の詳細(血の色・状態で見分ける)
血便は「どこから出血しているか」によって色や状態が変わります。以下の表を参考にしてください。
| 便の様子 | 示唆されること |
| 便の表面や便全体に鮮やかな赤い血がつく | 大腸・直腸など消化管の下部からの出血や炎症 |
| 黒くタール状の便(悪臭を伴うことが多い) | 胃や小腸など消化管の上部からの出血(緊急性が高い) |
| 排便時に痛がる・排便姿勢を繰り返す(犬) | 肛門周囲や直腸の異常の可能性 |
| 排便時に鳴く・トイレに何度も入る(猫) | 肛門・直腸の損傷や炎症の可能性 |
| 血便と下痢・嘔吐が同時に見られる | 感染症や中毒など全身性の問題の可能性 |
| 血便と体重減少が続く | 慢性の炎症や腫瘍性疾患の可能性 |
観察のポイント:血の色(鮮やかな赤か、黒っぽいか)、量、便全体の状態、排便時の様子、元気や食欲・体重の変化を記録しておくと診察がスムーズです。可能であれば便の写真を残しておくことをおすすめします。
症状がある場合に考えうる疾患の一覧
血便の背景には、以下のような原因が考えられます。
- 大腸・直腸の問題:大腸炎、直腸炎、肛門周囲の傷、肛門嚢炎(犬)、大腸・直腸腫瘍、大腸ポリープなど
- 上部消化管の問題:胃・十二指腸潰瘍、消化管腫瘍、異物による消化管損傷
- 感染症・寄生虫:犬ではパルボウイルス感染症・犬コロナウイルス感染症・鞭虫症、猫では猫汎白血球減少症・猫白血病ウイルス/猫免疫不全ウイルス感染、共通して寄生虫症など
- 全身性の問題:凝固異常、重度の肝疾患、中毒、猫では甲状腺機能亢進症
- 炎症性の病気:炎症性腸疾患、食物アレルギー、ストレス性腸炎、猫では消化管リンパ腫・三臓器炎
犬と猫で異なる注意点
- 犬は寄生虫(鞭虫症など)や食物アレルギーが血便の原因になりやすい傾向があります。
- 猫は感染性の猫汎白血球減少症が血便の背景にあることがあり、多頭飼育の場合はうつる可能性があるため早めの受診と隔離をご検討ください。
- 猫は絶食が続くと肝リピドーシスのリスクがあるため、血便と食欲不振が重なる場合は自己判断での絶食を避けてください。
- 猫はシニア期に消化管リンパ腫や甲状腺機能亢進症など、犬に比べて腫瘍性・全身性の病気が血便の背景にあることが比較的多い傾向があります。
今すぐに来てほしい症状
以下のようなサインが見られる場合は、様子を見ずすぐにご連絡・ご来院ください。
- 黒くタール状の便が出た(上部消化管からの大量出血が疑われ、命に関わることがあります)
- 大量の鮮血が繰り返し出る
- ぐったりして元気がない、歯茎の色が悪い(猫では隠れて出てこないことも)
- 血便と嘔吐が同時に続いている
- 猫で食欲不振が1日以上続いている(肝リピドーシスの危険があります)
診断・検査
問診で便の色・量・持続期間・食事内容などを詳しく伺い、身体検査を行います。必要に応じて便検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、内視鏡検査などを組み合わせて出血の原因や部位を調べます。検査の目的や結果は必ずご説明のうえお渡しし、飼い主様のご了解を得ながら治療を進めます。
治療法と費用の目安
大腸炎など軽度の炎症であれば消化器に配慮した療法食や輸液で経過を見ることが多く、潰瘍や異物、腫瘍が疑われる場合はより詳しい検査や外科的な処置が必要になることもあります。費用の目安は6,000円〜となりますが、検査・治療内容によって変動しますので診察時にお見積もりをご提示します。専門的な治療が必要な場合は、高度医療施設との連携もご提案いたします。
家庭でのケア・再発予防
血便に気づいたら自己判断で様子を見続けず、早めにご相談ください。便を吐かせようとしたり、市販薬を与えたりすることはリスクがあるため避けてください。犬では誤飲を防ぐ環境づくりや寄生虫予防を定期的に行うこと、猫ではトイレを清潔に保ちストレスを軽減する環境づくりが再発予防に役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q. 便の表面に少し血がついている程度でも受診すべきですか? A. 少量でも大腸の炎症などが背景にあることがあるため、繰り返す場合や続く場合は受診をおすすめします。
Q. 黒い便と赤い便では緊急性が違いますか? A. 黒くタール状の便は上部消化管からの大量出血が疑われ、鮮血よりも緊急性が高いサインとされています。
Q. 多頭飼いの猫の場合、他の猫にうつる血便はありますか? A. 猫汎白血球減少症など感染性の病気が血便の背景にあることがあるため、複数飼いの場合は早めの受診と隔離をご検討ください。
まとめ
血便は消化管のどこかで出血が起きているサインであり、色や状態、動物種によって背景が異なります。当院はインフォームドコンセントを大切にし、検査の目的と結果を必ずご説明したうえで治療を進めています。血便に気づいたら、遠慮なく早めにご相談ください。関連する記事として「犬猫の下痢」「犬猫の胃腸炎」もあわせてご覧ください。
監修:近藤 広樹(獣医師) 本記事はオーシャン動物病院の近藤広樹が監修しています。






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