笑顔と思いやりのオーシャン動物病院

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静岡県磐田市上岡田942-4

呼吸器科

当院の呼吸器科について

呼吸器科は肺や気管などの疾患に対応する科目です。
呼吸器の疾患は咳や呼吸困難など様々な症状が出ます。また、それらに伴う運動量の低下などが見られることもあります。呼吸器症状は心臓病などの循環器科の疾患、腫瘍の影響など他の疾患が原因となっていることもあります。こういった疾患に対して、外科と内科の両面から治療を行える体制を整えております。

呼吸器科の診断・検査

呼吸器の症状がみられる場合は、呼吸器のみなのか、他の疾患が影響しているのかなどの原因を精査することが重要となります。そのため、多面的に検査できる体制を整えております。

呼吸器科の検査

  • 血液検査

    呼吸器症状の原因となる基礎疾患を診断することができます。また、CRPの測定によっても炎症の存在を発見することができます。

  • 画像診断(胸部レントゲン検査)

    肺や気管の状態を確認することができます。超音波検査と同様に心臓疾患の状態も確認することができます。

  • 画像診断(超音波検査)

    胸水や腫瘤の診断を行うことができます。また、呼吸器に関する症状の原因にもなる心臓疾患の状態も診断することができます。

代表的な呼吸器科の病気

当院で実施している呼吸器科診療での対応例の一部をご紹介します。

  • 猫の上部気道感染症

    猫でしばしば認められるが、その原因はウイルス、細菌、クラミジアなど多岐にわたる多因性の疾患となっている。粘膜表面のびらん、潰瘍が起こり、結膜炎や鼻炎を発症する。
    またネコヘルペス(FHV-1)ウイルスでの症状は沈うつ,くしゃみ,食欲不振,発熱,目及び鼻からの漿液様の分泌物、流涎がある。典型例ではしばしば充血と浮腫をともなう結膜炎が認められ、また潰瘍性角膜炎やぶどう膜炎に至るケースもある。
    猫カリシ(FCV)ウイルスでの症状は流涎をともなう口腔内潰瘍形成が特徴的である。この潰瘍は水泡形成から破裂し、炎症性細胞の湿潤と周囲の上皮組織の障害によって生じる。これらの症状は2~3週間で改善する。元気消失、発熱などの症状に加え、くしゃみ、鼻汁、流涙も認められ、FHV-1の症状と類似する。

  • 軟口蓋過長症

    軟口蓋は、硬口蓋から続く口腔粘膜の背側端と鼻腔粘膜の腹側端からなるヒダ状構造を呈するが、この軟口蓋が伸長し喉頭蓋の下方まで覆い気道を閉塞する疾患を軟口蓋過長症という。過長した軟口蓋は、吸引時に後方へ牽引され喉頭気道の背側を覆い吸気障害が生じることになる。とくに就寝時には軟口蓋の振動による著しいいびき音として聴取される。

  • 犬の気管虚脱

    犬の気管虚脱は原因不明の気管の扁平化により、関谷呼吸困難などの呼吸症状をともなうようになる疾患である。多くの犬では頸部並びに胸腔内の虚脱の双方を引き起こしており、また喉頭炎や慢性気管支炎を合併していることがある。なお猫でも気管虚脱が生じることがあり、原因として鼻腔内腫瘍や鼻咽頭道狭窄症のような上部気道疾患による吸気性努力呼吸が示唆され、上部気道の閉塞が緩和されることにあわせて気道虚脱が改善したことが報告されている。
    症状は気管の扁平度に依存するが、徐々に進行し呼吸困難や難治性の咳を呈するようになる。痰を喉に絡めたような湿性あるいは乾性の咳であり、前者の場合、嘔吐と見間違えることがある。血液検査では肝酵素や胆汁酸値が上昇していることがあり、低酸素性の肝障害が示唆されている。胸部X線検査では吸気と呼気の気管径の変動を検討する。気管虚脱では肺ヘルニアもよく認められるため、診断ポイントの一つとなっている。画像検査で判断がつかない場合は呼吸器内視鏡検査を実施する。

  • 猫の喘息

    猫の喘息はヒトの喘息と臨床的・組織学的特徴が酷似しており、その病態は可逆性の気道狭窄及び気道過敏性の亢進を特徴とした慢性炎症性疾患と定義することができる。猫はヒト以外で唯一喘息を自然発症する動物であり、その病態においてアレルギーの関与が示唆されている。
    現在、単一の検査によって猫の喘息を診断することは困難であり、身体検査、胸部X線検査、血液検査、気管支鏡検査および気管支肺胞洗浄液(BALF)などの検査結果を総合的に評価して診断することになる。猫の喘息に認められる臨床症状は、呼吸困難、喘鳴、頻呼吸、チアノーゼ、発咳、くしゃみ、鼻汁、呼気相の努力性呼吸などが挙げられるが、いずれも喘息に特異的なものではないため、その他の疾患(うっ血性心不全、胸腔内液体貯留、肺炎、肺線維症、肺寄生虫症など)との関連性を評価する必要がある。

  • 肺炎

    肺炎を引き起こす病原体は、ウイルス、細菌、真菌などが挙げられる。これらの感染症の多くは幼齢・若齢な犬や猫で、また免疫抑制状態の動物において生じると考えられている。

    ●ウイルス性肺炎
    一般的な臨床症状は発熱や頻呼吸であり、咳感受性あるいは気道過敏性が増し咳嗽誘発実験が陽性となり、聴診では“ブツブツ”といった粗い断続性ラ音(水泡音)が聴取されるかもしれない。ウイルスは気体の中の粒子となり、動物がこれを吸入することで肺内へ到達する。そしてウイルスは肺胞内の上皮細胞を破壊し肝室内へ潜伏し炎症反応を引き起こす。そのため胸部X線検査では間質性の湿潤陰影がよく認められる。また破壊された肺胞内に二次性に細菌感染が生じると症状は急性そして増悪傾向を示し、胸部X線像も肺胞性の湿潤陰影へと向かう。血液検査ではリンパ球が増加しているかもしれない。確定診断には気管洗浄や肺生検から得られた標本から感染原因となるウイルスを検出することが必要である。

    ●細菌性肺炎
    細菌性肺炎はいかなる年齢でも生じる可能性があるが、最も関連した原因は慢性並びに再発性の誤嚥によるものと考えられる。一般的な臨床症状は発熱や浅速あるいは頻呼吸であり、努力性呼吸、呼吸困難を呈し、病期の進行が速い。咳感受性あるいは気道過敏性も増し、湿性の咳が持続する。聴診では“ブツブツ”といった粗い断続性ラ音(水泡音)または“プチプチ”といった細かい断続性ラ音(捻髪音)、高温性連続性ラ音(警笛音)が聴取される。肺が硬変してくると呼吸音が聴取できなくなる。慢性の経過をたどることもしばしばあり、元気消失や食欲不振が続き、体重減少を示すようになる。また喀痰が鼻咽頭道やさらに鼻腔内に入り込むと、これが二次感染の原因となり鼻汁のような鼻の症状を生じる。血液検査では左方移動した好中球数の増加が認められる。また、血液中のC反応性蛋白質の値が顕著に上昇する。可能ならば血液ガス分析により低酸素血症の重症度を評価する。胸部X線検査では間質性あるいはエアブロンコグラムをともなう肺胞性の湿潤陰影を認める。

    ●真菌性肺炎
    臨床症状はウイルス性や細菌性と同様であり、努力性呼吸や頻呼吸そして咳嗽誘発試験が陽性となり、聴診上で“ブツブツ”といった粗い断続性ラ音(水泡音)が聴取される。

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