再生医療
当院では2015年から動物に負担の少ない治療として再生医療を導入しています。
当院では2015年から動物に負担の少ない治療として再生医療を導入しています。
自分自身の細胞を体外で培養し、病気やケガの治療に役立てる治療法を再生医療(細胞治療)といいます。これまで治療方法が存在しなかった病気などに対する新しい治療法として期待されています。
動物には免疫力(白血球のリンパ球など)があり、体内に出来たがん細胞や体の中に侵入した細菌やウイルスを攻撃して死滅させます。免疫細胞療法はこのような生まれつき備わっている免疫の力を利用し、がんの発症や進行を抑える治療方法です。この治療法は一部のリンパ腫を除く悪性腫瘍に対して行うことが出来ます。
血液を採取してリンパ球を回収し、培養して活性化、増殖させ、静脈点滴で体内に戻します。リンパ球は体内で発生したがん細胞や細菌、ウイルスに対して攻撃・排除を行うので、がんの進行や再発を抑えることが期待できます。
がん免疫細胞療法(CAT療法)は穏やかに作用する治療のため、継続的な治療(2週間に1回の投与を4~6回が目安)が必要です。また、大きながんを小さくすることは出来ません。がんの進行や外科手術後の再発の防止が期待されます。
動物の体には「幹細胞」という様々な器官や臓器に変化(分化)することができる細胞が存在します。この幹細胞を体外で培養し、体内に戻してあげることで、失われた臓器や怪我の再生を期待する治療法です。
幹細胞療法は現在、骨折癒合不全での骨折部位修復や椎間板ヘルニアなどでの脊髄損傷部位修復などでの効果が認められている新しい治療法です。また、幹細胞には免疫を調整する働きがあるため、自己免疫疾患の治療に用いられることもあります。
通常、麻酔下で皮下脂肪を採取し、その中の脂肪幹細胞を取り出します。この脂肪幹細胞を約二週間かけて十分な数まで培養、増殖させて使用します。同じ種類の動物であれば別の個体から得た脂肪幹細胞を使用することができるので、当院では液体窒素中に脂肪幹細胞を保管し、必要な時にすぐに使用できるようにしています。
皮下脂肪を採取するときには麻酔が必須ですが、投与は静脈点滴で行うため、麻酔をかけられない体調の動物にも安全に使用することが出来ます。
現在、脂肪幹細胞療法(ADSC療法)は脊髄疾患(椎間板ヘルニアや外傷など)、骨折、自己免疫疾患、肝・腎疾患の治療に効果が期待されています。